位数3の体上のサイクル頂点行列を使って一応納得の行く結論は得られたのですが、前提となる行列の階数を知る方法がない事や、対角化した際に残った部分行列の正則性が不明であるなどの不備が多く、完全解決とはなりませんでした。
そもそもが、サイクルを頂点の組で表すという考え自体が、非常に限られた条件下でしか意味を持たないという弱点があり、長いこと考察しましたが、納得の行く解釈ができませんでした。
そこで、一度は忌避した、位数4の体上の頂点辺行列に立ち戻ってみたところ、サイクル頂点行列で培った知識が役にたって、今までてこずっていた部分があれよあれよと解決してしまい、ほぼ完全な解決を見ました。
…もう本人が一番びっくりです。
位数4の体上の頂点辺行列を忌避していたのは、零となる成分を持たないベクトルに限定して連立方程式を解かなければならないという制約があったからなのですが、実は位数3の体上のサイクル頂点行列でもその事情は変わりませんでした。そこで、零となる成分を持たないベクトルのみに制約する手法を考案したのです。それが、位数4の体上の頂点辺行列でもほぼ同様に使えたわけです。
それどころか、位数4の体は1の三乗根の合成からなるため、実部と虚部に分けられるのですが、行列には実部しか現れないため、次数の高い多項式は一次式まで因数分解できない事から、恒等的に零になる多項式が原理的に生じない(鳩の巣原理によって零になる場合を除く)というメリットもあります。
はい、今度こそちゃんと解けたはずです。かなりの自信を持って、私はこう言えます:
カットエッジを持たない任意の連結な3正則単純グラフは、辺3彩色できる。
そして、その系には四色定理が含まれる。
したがって、四色定理は台数的にエレガントに証明できる。
…ただ、あまりにも簡単な証明なので、実は間違っているかもしれないという不安もいまだあります。あるいは、もうすでに誰かがとうの昔にエレガントに四色定理を証明していたのに、隠している疑いも、可能性としてあると思います。例えば、辺彩色に必要な色数の上限に関する「バイシングの定理」(Vizing's theorem (1964) )のバイシングさんあたりが、既に証明してたりなんかして、って妄想してます。