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つーわけで、四色定理の証明のまとめ

今度こそ、四色定理をエレガントに証明する。
(追記:すんごい自信持って書き直したのに、間違ってる気がしてきました。ていうか間違ってる。なんか(頭が)おかしいなぁ…)
(追記2024-03-26:間違いついでにせっかくだから、今日わかった事書く)
辺3彩色可能な3正則グラフのサイクル頂点行列は、各行の成分の和が0になるように列の符号を変更したあと全行対角化したあとに、何と行の符号をうまく選べば、列の成分の和を全て非0にできる:別の言い方をすれば、対角化されてない部分の下の単位行列を配置して、行の符号をうまく選べば列の成分の和を全て0にできるって事。
なら当然、対角化部分の下、つまり付け加えた単位行列の横に、対角化されなかった部分の逆行列配置できんじゃね?って思うよね。はい。できます。
そうすると、それらを束ねた行列の各行各列ごとに成分の総和を求めて、0でない列と行を全て符号反転すると、なんと、列の和も行の和も全部0にできるっぽいんだよね…。
なぜなのかはわからないけど。ひゃぁ!
(註2024-03-22:全面改稿します)
すでに述べたように、平面グラフの面4彩色は境界線の辺3彩色と等価ですので、辺3彩色の証明をします。
連結で任意の2頂点間に単一のサイクルが存在する3正則グラフ(全ての頂点の次数が3、つまり一つの頂点には丁度3つの辺があるグラフ)が辺3彩色できる事を示します。
なお、グラフは平面でなくてもかまいません。平面でないグラフは、平面状に投影した形で考えます。
また、辺の彩色とは一つの頂点上で同一の色の辺がない事ですから、ループ(辺の両端が同一の頂点)は当然除外しますが、多重辺(同一の2頂点をつなぐ2以上の辺)は許容します。と言っても3正則ですので、頂点数が4以上のグラフでは多重辺はたかだか2本までです。頂点数が2の時のみ、多重辺は3本存在します。
証明は数学的帰納法により、ある辺3彩色可能な3正則グラフが与えられた時に、そのグラフに頂点を2個とその頂点をつなぐ辺が付け加えられたグラフもまた辺3彩色可能である事を示します。

サイクル頂点行列

平面グラフでは、面とサイクルは同じ意味と思って構いません。
位数3の体上のn行(2n-2)列の行列で、各行がサイクルに対応し、各列が頂点に対応する行列です。
行列の成分は、行に対応するサイクルが列に対応する頂点を含む時に非0、それ以外は0とします。
行列の成分は、頂点をサイクルに沿って順に辿る時に、辺の彩色の順序のヒントとなる値です。
辺を彩色する際、例えば、青黄緑の3色を使うとして、この順番に色がサイクリックに変わる時を(+1)、逆順の時は(-1)、のように決めたとします。サイクルに沿って行くと、各頂点毎にサイクルに含まれない辺が、サイクルをたどる方向に対して左か右のどちらかに出現します。この時、同じ側にある頂点が同じ値になるようにします。例えば、左が(+1)、右が(-1)のようにします。一つのサイクルの中でルールが統一されていさえすいれば、サイクル毎にルールが違っても構いません。
なお、実際の彩色は、この行列を係数行列とする(2n-2)変数の連立方程式の解と対応する行列の成分の積によって行われます。

サイクル頂点行列の性質

サイクルはベクトル空間としては、頂点辺行列の核の元であり、したがって、一定の次元を持ちます。
これは、多面体定理によって、(2n-2)頂点の3正則グラフではnとなる事がわかっています。
したがって、一般に、n行(2n-2)列のサイクル頂点行列のrankはnとなります。これは、n行まで対角化可能である事を示しています。
ただし、全てのサイクルが偶数頂点を持つ場合には、rankは(n-1)となりますので、扱いに注意が必要です。
また、同一の列ができるのは、2頂点の多重辺、すなわち2辺国が存在する場合に限られます。
したがって、同一の列はもしあれば一つの列にたかだか一つまでしか存在しません。

サイクル頂点行列を係数行列とする方程式と辺3彩色との関係

サイクルは、ある辺からスタートして一周すると、当然ながら元の色に戻ります。
つまり、彩色の順序を前述のように数値で表すと、全てのサイクル(行)で、その和は0にならなければならないという事です。
したがって、サイクル頂点行列をM、各行が各頂点に対応する変数を成分とする(2n-2)次元ベクトルをXとすると、
MX=0
という連立方程式になります。X=0は方程式の自明な解で、全ての辺が同一色に彩色されている場合を表します。
辺3彩色とは、Xの成分に0となるものが存在しない、つまり全ての成分が非0、という事と同値となります。

係数行列と多変数多項式

前述の連立方程式をひとつひとつの行に着目すれば、列数と同数の変数の一次結合が0と言っている事になります。
この方程式の解の一つについて、各変数にその解を代入した式は、方程式の各項は、行列の成分に解である値を掛けただけのものになります。
解の成分が全て非0ならば、行列の成分と解の値の積そのものを成分とする、新たな行列を考える事ができます。見方を変えれば、各変数の値を1にする代わりに、もともとの変数の値を行列の成分に掛けあわせた、と言う事もできます。
こうすると、あらたな行列は、各行の成分の総和が全て0となり、0か非0かを問わず、全ての成分が同一なベクトルは全て自明な解という事になります。
余談ですが、連立方程式の係数行列のrankが行列の行数と一致するとき、全ての行を対角化する事ができます。
すなわち、行列Mの行数がnで、rank(M)=nとするとき、n行n列までを単位行列にする事ができるという事です。
もし、係数行列の各行の成分の総和が全て0ならば、対角化後の行列も、各行の成分の総和はやはり0となります。
すると、対角化されなかった部分だけを係数行列とする連立方程式に於いて、非0の変数の値の係数行列による一時結合が全て非0の値をとる事が自然にわかります。

3正則グラフに次数2の頂点を付け加える事

数学的帰納法を使うにあたり、頂点数が2個少ない3正則グラフが辺3彩色可能である事を前提とします。
そのためには、適当な(まだ辺3彩色できるかどうかが分からない)3正則グラフを与え、そこから辺を一つ取り除いたものを考えます。辺とその両端の頂点を取り除けば、頂点が丁度2個少ない3正則グラフとなり、そのグラフは辺3彩色可能であるという仮定を置きます。
そして、取り除いた2個の頂点を戻したグラフが辺3彩色可能である事を証明し、さらに辺を付け加える事で元のグラフも辺3彩色できる事を示していきます。

次数2の頂点を付け加えた3正則グラフのサイクル頂点行列と辺3彩色

3正則グラフは全ての頂点の次数が3という事を表します。
このグラフの適当な辺上に、次数の2の頂点を付け加える、つまり、辺を新しい頂点を挟んで二つに分割する事を考えます。
この時、サイクル頂点行列に於いて、次数2の頂点に与える値は、サイクルの辿り方に対して矛盾のないように配慮しなければなりません(見えない3本目の辺があるつもりで値を割り当てれば良い)。
次数2の頂点を丁度2個付け加えれば、サイクル頂点行列はn行2n列となります。
このサイクル頂点行列をMと置いた場合も同様に、連立方程式
MX=0
の、全ての成分が0でないXが存在する事が、辺3彩色可能である事と同値の条件となります。

次数2の頂点での辺の色の組み合わせ

単なる3正則グラフの辺3彩色と、次数2の頂点が丁度2個付け加えられた場合の辺3彩色では、決定的に異なる点が一つだけあります。
それは、3正則グラフでの辺3彩色は、どのカラーコンポーネントも必ずサイクルになっているのに対し、次数2の頂点が付け加えられたものは、サイクルにならないカラーコンポーネントが必ず存在する事です。サイクルにならない、一続きのカラーコンポーネントを、とりあえずエクステントと呼ぶ事にします。
エクステントには必ず2個の単店、つまり始点と終点があります。ちょうど、偶点の他は、奇点がないか、もしくは丁度2個だけあるグラフしか一筆書きができない事と同じです。
辺3彩色で、次数2の頂点では必ず色の切り替わりがありますから、少なくとも一つのエクステントができ、次数2の頂点はその始点か終点とならなければなりません。次数3の頂点ではカラーコンポーネントはかならずサイクルの一部となっていますから、次数3の頂点にエクステントの始点や終点は存在しません。したがって、次数2の頂点はもしあれば必ず2個以上なければ、辺3彩色できません。
つまり、3正則グラフに次数2の頂点を丁度2個付け加えたものが辺3彩色可能であれば、それぞれの頂点が同一のエクステントの終点と始点となるため、次数2の頂点の色の組み合わせは必ず同一の2色となります。
この事は、次数2の頂点を丁度2個付け加えた3正則グラフを辺3彩色すれば、付け加えた頂点を両端とする辺を余った3色目で彩色して付け加えれば、辺3彩色された3正則グラフとなる事を示しています。

辺3彩色可能な3正則グラフに、次数2の頂点を丁度2個付け加えたグラフがやはり辺3彩色可能である事

ここでは、一般性を失わない範囲で取扱を簡単にするために、与えられたグラフには必ず奇数頂点のサイクルが存在するものとする。

サイクル頂点行列は、各行の成分の和が0になるように調整する。

辺3彩色可能なグラフをGとする。
次数2の頂点を付け加える2辺はあらかじめ決めておき、その2辺を含むサイクル(面)が、グラフの外周部になるように、グラフを変形してから、サイクル頂点行列Mを構成する。
そして、(Gが辺3彩色可能である事から)以下の連立方程式
MX=0
の、成分に0を含まない解の一つを決定し、このXを使って、Mの各列の成分を書き換え、Mの各行の成分の和が0になるようにする。

サイクル頂点行列の、頂点を付け加えるサイクルに対応する2行の中から、正則な正方行列をみつける

これは、rank(M)>2であるため、必ず存在します。
もし単位行列があるならばとても話が簡単になりますが、正則でありさえすれば、別に単位行列である必要はありません。
つまり、つぎの組み合わせのいずれか(と、その列別の符号違い)になります。
10
01

10
11

11
12
なおこの2行は、このあとしばらく、手をつけません。

上で見つけた正方行列を含まない行について、正方行列を含む列の成分を全て0にする

三角化と同じ要領で、当該正方行列に関わるXの成分が正方行列のある2行だけに影響するように、残りの行の成分を0にします。
この場合、正方行列を含む2行(頂点を付け加える辺を持つサイクルに対応する2行)の、成分の和の組合せは、次の3通りになります。
1+0+2=0
0+1+2=0

1+0+2=0
1+1+1=0

1+1+1=0
1+2+0=0

ここで、正方行列を含む列の符号を変えた場合、次の9通りが考えられます。
2+0+2=1  1+0+2=0  2+0+2=1
0+1+2=0  0+2+2=1  0+2+2=1

2+0+2=1  1+0+2=0  2+0+2=1
2+1+1=1  1+2+1=1  2+2+1=2

2+1+1=1  1+2+1=1  2+2+1=2
2+2+0=1  1+1+0=2  2+1+0=0

ここで、どちらかの行で和が0になるものは排除し、どちらの行も0にならないものだけが採用となります。
上のように、全ての可能な組み合わせの中に少なくとも一つの非0のみの組合せが存在します。

次数2の頂点の列を付け加えます。

次数2の頂点に相当する単位行列を上で残していた2行に付け加えます。
この時、頂点の符号を、2行がともに成分の和が0になるようにします。
上の9個の組合せのうち、行の和が0のところは0になってしまいますが、上でみたように、適切に頂点の符号を入れかえれば、0でないものだけにする事ができます。
すなわち、グラフGに次数2の頂点を丁度2個付け加えたグラフG'も、そのサイクル頂点行列をM'とすれば、連立方程式
M'X=0
に、全ての成分が非0の解Xが存在する事が保証されました。
これにより、G'もまた、辺3彩色できる事が示されました。

補足

実は、次数2の頂点に対応する単位行列は、先に付け加えて於いても構いません。
もちろん、符号を変える正則行列の他の行を0にする必要も、実はありません。
むしろ、頂点を付け加えた後の実際の彩色がどうなるのかが自動的に導出され、お徳です。
ただ、列の符号の変更が、他の行に影響を与えない事を理解しやすくするために、上のようにしたまでです。
見ての通り、以前四苦八苦したような、正則だの、逆行列だの、は全く必要ありません。
完全に線形代数のみの解法で、しかも恐ろしく単純かつ明快です。どうして今まで誰も発表しなかったのか、不思議なくらいです。…ひょっとして間違っているのでしょうか!?
(追記:間違ってる気がしてきました。同じところを堂々めぐりしているような…)

(註2024-03-22:ここから以前の内容)
定理を証明するにあたって、いくつか補題を用意する必要があった。
一つは、複数の多変数多項式の積が恒等的に0になる条件を係数行列から求める事。
そして、一定の条件を満たす非正方行列に於いて、対角化して残った部分が正方行列となった時に、その正方行列が正則となる事。
最後に、辺3彩色可能な3正則グラフに次数2の頂点を1個付け加えたグラフは辺3彩色できない事と2個加えたグラフは辺3彩色できる事。
これらの事実は、四色定理は結局、行列、すなわち線形代数の問題に帰着される事をしめしている。
(追記:惜しいところで証明できてませんorz)
(追記:と思ったらやっぱり解けてるみたいでした。もう何が何やら…)
(追記:やっぱり計算間違いかも…)
(追記:いややっぱり解けてたかも(どっちだよ))
(追記:駄目な方だった)
(追記:あらためてきちんと数式をたてて考え直したら、なんか解けた。解けたんだけど、今度はむしろ何故解けるのかがわからない…)
(追記:正則である事を条件に加えて紆余曲折の末、符号の扱いを勘違いしてた事がわかってあらためて考察したら、ちゃんと解けてる事がわかった。裏付けも一応だけどできてた。)
(追記:恥ずかしい話、書き直したところ、全部正しいと勘違いしてたところだ。俺の頭はどうなってるの!?)
(追記:もっとシンプルな方法があったよ。時間ができたら書こう。)
(1)面4彩色は、境界線の辺3彩色である。
境界線はあらかじめ、3正則(=全ての頂点の次数が3)化してあるものとする。
(2)辺3彩色は、2色のカラーコンポーネントのサイクルの組み合わせである。
したがって、任意の2頂点間を通るサイクルが存在しないグラフは辺3彩色できない。
なお連結でない(コンポーネントが複数ある)グラフに関しては、各コンポーネント毎に辺3彩色できれば良いので、ここでは連結なグラフしか扱わない。連結でも辺3彩色できない例としては、二つのコンポーネント同士が一つの辺のみでつながっているものや、三つのコンポーネントが一つの頂点から放射状につながっているものである。
(3)辺3彩色は、各頂点毎の色の彩色順序によって、右回りと左回りの2つの値を対応させる。
例えば、青、黄、黒、の3色を、この順序に右回りで彩色する時に1を、左回りに彩色する時を−1、のように対応させる。
(4)サイクル頂点行列を構成する。
3正則グラフに於いては、nを自然数とするとき、頂点数は2n、辺数は3n、面数は(球面の場合)n+2となる。
そこで、n+1行2n列の行列を、行を面に、列を頂点に、対応させて構成する。
各成分は、対応する面に対応する頂点が含まれていれば1、それ以外は0、とする。
なお、この行列は位数3の体(平衡三進表示で、0,1,-1)上の行列とする。
(5)この行列を各頂点に対応付けられた値を変数とする連立方程式の係数行列と考え、各行に対応する一次結合が0となる連立方程式とする。
これは、面を一周すれば元の色に戻るわけだから、一次結合の値も0でなければならない。
この連立方程式を解く事と、面4彩色する事は同じ事であるから、この連立方程式に常に解が存在する事を示す事が、四色定理を証明する事と等価になる。
この連立方程式に解が存在する事を直接的に示すのはそれほど簡単ではないため、数学的帰納法により逐次的に示す事になる。
(6)辺3彩色可能な3正則グラフから辺のみを1本取り除いたグラフ(3正則のグラフにちょうど2つの次数2の頂点を付け加えた)は、やはり3辺彩色可能である。
これは、先に彩色してから辺を取り除けば良いので、自明。
(7)逆に、そのようなグラフが辺3彩色可能であれば、取り除いた辺を元どおりに戻したグラフも、辺3彩色可能である。
これは、少し説明が必要である。
すでに述べたように、3正則グラフに於いては、各カラーコンポーネントはサイクルでなければならない。
しかし次数2の頂点で辺の色が切り換わると、2色のカラーコンポーネントのどちらもサイクルにはならない。
つまり、始点と終点がなければならない。
もし、次数2の頂点で、例えば一方で青と黄、もう一方で黄と黒、のように3色全てが出現する場合、青は一方の頂点を始点、もう一方を終点とする事ができる(黒を青と黄の混色と考える)が、黄は始点のみとなるから、そのような辺彩色は存在しないという事になる。
したがって、一方の頂点が例えば青と黄ならば、もう一歩も必然的に青と黄、のようにちょうど2色の組み合わせのみが出現する事が導かれる。
よって、取り除いた辺を黒に彩色すれば、辺3彩色が完成する。
(8)そこからさらに次数2の頂点を取り除いたグラフが辺3彩色可能なら、取り除いた頂点を戻したグラフも辺3彩色可能である。
これは、辺を取り除くという事は面数が減るという事で、より少ない面数のグラフが辺3彩色可能である事を数学的帰納法の仮定に据えるという事である。
言い換えると、面数が1つ少ないサイクル頂点行列には、上で述べた連立方程式の解がある、という事である。
この仮定の下で、このサイクル頂点行列に、次数2の頂点をちょうど2個付け加えたサイクル頂点行列にも、連立方程式の解が存在する事を示せば、四色定理が証明された事になる。
問題を単純化するため、次数2の頂点が2つとも含まれるサイクルが、外周部になるようにグラフを変形する。
こうすると、サイクル頂点行列に於いて、次数2の頂点に対応する列には、1となる成分がただ1つのみ現れる、n行2n列の行列となる。
次に、次数2の頂点を付け加えた列を含めて、残ったn行n列を対角化する。
対角化されなかった列はn次の正方行列となる。
ここで、対角化されなかった正方行列がもし正則行列ならば、逆行列がする。
サイクル頂点行列の連立方程式は、変数の一次結合が0とならなければならないため、対角化されていない列の一次結合は、次数2の頂点を付け加える前に辺3彩色された時、次数2の頂点のある2行は0、それ以外は非0となる。
ここで、次数2の頂点に対応する変数の値が非0になるように連立方程式をたてると、対角化されていない列からなるn次正方行列に逆行列が存在する事を使って、それらの列の変数の値の符号を変えるだけで、次数2の頂点のある行の一次結合も非0にする事ができる(なお、奇数個の頂点で符号を入れ換えると逆行列の符号も反転してしまうため、その場合には適当な行の符号も一度に入れ換える(行の符号の入れ換えは対角化された列の符号の反転に相当するため、逆行列に影響しない))。そのためには、対角化されてなかった行のうち、追加した2頂点に対応している行の中で、正則な部分行列をみつけ、それが含まれる列の残りの行を全て0にするように、部分的な対角化を行う。対角化されていない部分が正則なのだから、かならずそのような部分行列は存在するはずである。その部分行列の列が、符号を反転すべき列となるはずである(追記:このあたりがまだ自信がない)(追記:うん、だめだこれ)。
(註2024-03-23:ここから下の内容は、証明には全く不要な作業でした。しかも間違ってます。)
(追記:ここからの議論は符号の取扱いを誤っているので、要訂正)
今、非対角化部分の正方行列をM、その逆行列をW、全ての要素が1のベクトルを1で、2のベクトルを2で、0のベクトルを0で、新たに頂点を加えた2行のみが1で他が0のベクトルをUで、反対に当該2行のみが0で他が1のベクトルをLで、単位行列をEで、単位行列の対角線上のいくつかの符号を変えたものをTで、単位行列の付け加えた頂点に対応する対角線上の成分を非0の値をとる二つの変数に置き換えたものをXで、表したとする。
U+L=1
TT=E
XX=E
XL=L
EL+M1=0 ∴WL=-1=2
Mが、解となる頂点ベクトルの成分が全て1となるように各成分が調整されているものとして、TをMの列の符号を反転させる行列と考えれば、この問題はTを求める以下の方程式となる。
(追記:以下の式は誤解を含む。)
MT1=2=-X1
(追記:正しくは、こう。)
MT1=2=-X1
両辺にMの逆行列Wを掛けると、
T1=-WX1=ーWX(U+L)=ーWXUーWXL=ーWXU-WL=ーWXU-2
∴T1=1-WXU
を得る(位数3の体では2倍する事と符号を変える事は等価である事に注意)。
一方、Tの逆行列はT自身なので、
TWU+T1=1
を得る。まとめると、連立方程式
T1-WU=1
T1+TWU=1
を得る。これを解くと、
TWU+WU=0
∴(T+E)WU=0
を得る。

WUは決まった値なので、ここからWUの0でない成分について、Tの成分の一部を求められる。不明の部分は元の式に代入して連立方程式とすれば求められる。
つまり、TはMが与えられれば自動的に求められる。
(ああ、何がおかしいのかわかった:Tが正則かどうかがわからないんだ!こうして求められたTが正則である事を証明しないと問題を解いた事にならない!)
Tが正則である(対角線上に0となる成分がない)事を示す。上で求めた式、
T1=1-WXU
からわかるように、WXUの成分に1が含まれていなければ、Tは正則である。
つまり、Wの次数2の頂点に対応する列ベクトルの一次結合のうち(4通りある)、成分に1が含まれないものが必ず存在する事を示す必要がある。
M、W、E、を次のように並べた、2n次正方行列を考える。
EM
WE
これは、サイクル頂点行列を左半分で対角化して左端に2次の頂点を付け加えたものと、それを掃き出して右半分で対角化したものを、縦に並べたものである。
今、Mは頂点に対応する全ての変数が1となるように調整されているため、この行列の全ての行に於いて、成分の和は0となる。
ここで、下の段の行列
WE
について、左端の2列と残りの右2n-2列に分けて考える。
左端の2頂点に対応する変数を仮に0とすると、これは頂点を付け加える前の(辺3彩色可能な)3正則グラフそのものなので、右2n-2列の各行の成分の和は0である。しかしここで、右n列は単位行列であるので、必然的に、Wの右n-2列の各行の成分の和は、2でなければならない。
一方で、Wの各行の成分を係数とする一次結合からなる多変数多項式の全ての積に、左2列に対応する頂点の変数を掛け合わせたものは、最前に解説した通り、恒等的には0にならない。
もしも、左2列の各行の和に必ず1が出現する場合、多項式の積は恒等的に0にならなければならない。
したがって、Wの左2列の一次結合が1になるものは存在しない事から、WXUの成分に1が含まれる事はない。
以上から、Tは正則である。
説明が前後するが、実は一次結合が0になる場合、変数の符号と対応する係数の符号を入れ替えてもやはり一時結合は0のままであるため、変数の値の符号を勝手に変えても(同時に対応する行列の列の符号も全て変えれば)題意が変わる事はない事が容易に理解できる。
以上のようにして、次数2の頂点を付け加えたサイクル頂点行列を係数とする連立方程式もまた解を持つ事が示された。
(9)辺3彩色可能な3正則グラフに対応するn行2n−2列の行列は、n行まで対角化して残ったn次正方行列は、正則である。
頂点数2n-2の3正則グラフが辺3彩色可能であれば、行列のrankはnとなる。
また、(スカラー倍を同一視した時)同一の列が、その列ごとに2個以下となる。
そもそも、同一の列は、グラフに2辺国が含まれる場合に限られるため、3辺国以上しか含まないグラフに於いては、同一の列は存在しない。
したがって、行列の理論により、(同一の列がある場合にはそれらが同時に含まれないように)n列をどのように選んでn次正方行列を構成しても、必ず正則行列となり、残ったn列もまた同様である。
したがって、対角化して残った正方行列も当然正則行列となる。
以上により、四色定理数学的帰納法によってエレガントに証明された。□
ただし、エレファントになる可能性も実は残っている。無限降下法により、最少の頂点数を持つグラフが辺3彩色できる事を示さなければならないが、それがいくつあるのか、をきちんと示していない。
尤も、4辺国以下を含むグラフに関してはもっと簡単に証明できるため、ここでは最少面が5辺国である場合(頂点が20以上、つまり面が12以上なければならない)に限って上の証明を適用すれば良いので、証明の妥当性に問題はない。
上の証明に瑕疵がない事を祈る。
(追記)
瑕疵あったよ!行列の符号入れ換えたら逆行列の符号も変わっちゃうじゃん!
というわけで、行の符号も入れ換える事にした(加筆済み)。
(追記)
行列の列の符号を変更すると、逆行列の符号も変わってしまうのではないかと今朝になって気付き、解けてないような気がしていましたが、改めて考察した結果、どうやら逆行列に影響を与えない形で方程式を式変形できるようでした。