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新電元MA2000シリーズの覚え書き

最近、古いスイッチング電源の修理をする機会を得て、その際に使われていたのが新電元MA2430でした。早速データシートのアーカイブを検索してみたのですが、満足な結果は得られません:一応データシートと銘打ったものは見つかりますが、絶対最大定格や推奨動作条件など主要諸元の他は端子機能も内部等価回路も応用回路例すらも掲載されていませんでした。幸い、同一シリーズの内部構造が同一と思われるMA2830を検索して必要なデータを揃える事ができましたので、ここに少しまとめておきたいと思います。修理の参考になればと思います。
MA2000はスイッチング電源用ICで、自励スイッチング電源の一次側を構成するのに必要な、高耐圧パワートランジスタダイオード、フィードバック用のドライバトランジスタダイオードキャパシタなどを一つのパッケージに収めたものです。主にフライバックコンバーターとしての使用を想定しているようです。ICというよりは複合トランジスタと呼ぶ方が似合っている感じの素子です。起動用の抵抗や二次側での基準電圧や検出回路、ホトカプラといった外付け部品は必要ですが、補助電源を用意する必要がないので、多く普及して電源の小型化に貢献したであろう事は容易に想像できます。それにしては情報が少なすぎる気はしますが…
MA2430の場合、耐圧500V、発振周波数200kHz、ヒートシンクなしで最大3Wまでの出力に対応します。

MA2000内部の回路

内部回路は図のような感じです。ピン配置や各端子の定格などの詳細はデータシートを参照してください。
1番ピンを正極とし、1番ピンと2番ピンの間に一次巻線を接続します。高耐圧なのはこの二つのピンだけです。
3番ピンには抵抗を介して正極につないでブートストラップとします。
5番ピンはブロッキング発振のフィードバック入力で、抵抗を介して補助巻き線などに接続します。
6番ピンはフィードバック制御入力で、ホトカプラの出力などを接続します。
7番ピンは内蔵コンデンサの放電用の電源と思われ、応用回路例では補助巻線に抵抗を介して接続されています。